大事な友人が同性愛者だった

同性愛というと、漫画や映画、ドラマや小説などに限られた話だとずっと思っていた大学生のころ、自分の友達が同性愛だということを知りました。

大学に入って初めてできた友達で、入学式の日、学部・学科別に並んだ時にたまたま隣合って話しかけられ、意気投合し、すぐに仲良くなった人でした。
外見が可愛いだけでなく、気取ったところも全くなくて、お互い初めての一人暮らしだったこともあって、よくお互いの家に行っては一緒に勉強したり、料理をしたり、おしゃべりしたりしていました。

一人暮らしでわからないことや不安なことがあっても、その友達がいたからいつでも相談できたし、二人で話し合って解決することができるなど、大学でできた親友をわたしも大好きだったんです。

一人暮らしや大学生活に慣れ始めたころ、わたしにも部活が一緒の彼ができました。そうなると必然的に放課後に友達と過ごす時間も減りましたが、講義のほとんどを一緒にしていたため、ゼミ以外の大学生活は以前と変わらず友達と一緒に行動することが多かったんです。

かわいいし、魅力的な友達なのに、しばらくしても恋人を作る気配がないのが不思議でした。告白は大学生になってからも何度も受けていたけれど、すべて断っていたようです。

親しくなってから、一緒にテレビを見ていてアイドルや芸能人などを見て「この人、かっこいいね」という話題も一切なかったので、心に決めた相手が地元にでもいるのかなと思っていました。

同性愛の悩み

もしそうなら、ここまで仲良しなんだから話してくれてもいいのにと寂しい思いをしていましたが、本人がそういった分野が苦手なのかもと思い、触れないようにしていたんです。
わたしは日中は友達と、放課後はアルバイトや彼と過ごす大学生活がしばらく続きました。

学年が上がる前の休みに、二人で一緒にアルバイトをして旅行に行く計画を立てました。その休みの期間中、彼は合宿制の自動車免許取得に別の地方に行っていたので、一緒に旅行に行かない?と友達が誘ってくれたんです。
それでいくつかの短期アルバイトを入れて、二人で働いて軍資金を貯め、そして有名温泉地の旅行に行ったときに事件は起きました。

 

気持ちの良い温泉と、風光明媚な景色が人気の上品な温泉旅館を選び、最高のおもてなしと料理に寛いで、とても楽しい旅行でした。2泊3日だったので、ゆっくり付近にある観光名所を訪れたり、美術館に行ったりして、本当に素敵な旅行でお互いとてもリラックスしていました。
2日目の夜、料理を食べたあと、夜の露天風呂に行こうという話になりました。明日には帰るという寂しさもあってしんみりしながら入浴していると、友達から話があるといわれたんです。
これは地元の心に決めた人の話かも!と勝手に推測したロマンスにドキドキしていると、いきなり好きだといわれました。

彼と仲が良いのもわかっているし、大好きなのも知っているから、このまま友達のふりして仲良しごっこを続けていくのは辛いと。
彼女が自分を好きだということよりも、なぜか「友達のふりした仲良しごっこ」と言われたのがすごくショックだったのを覚えています。

何も言えなくて、反応できなくて固まっていると、彼女は黙って部屋に戻ってしまいました。
自分でも意外なのですが、彼女が同性愛者だということを知っても嫌悪感もなく、これまでの彼女の態度や言葉などを思い出して「そうなんだ」とすっと納得することができました。

ただ友達のことは大好きだけれど、やはり自分は同じ気持ちにはなれないことが自分でもはっきりわかっていました。だからこれまで通りの付き合いをしたいけれど、気持ちを知っていても今までどうりふるまうことは逆に残酷なんだろうと思うと、この旅行は彼女なりのけじめなんだなと悟りました。
その後、学年が上がると講義も別々のものをとるようになり、卒業までは挨拶をする程度に自然と疎遠になりました。

今思い出しても、別の対応をしたほうが相手を傷つけなかったかもと後悔ばかりしてしまいます。

中年ゲイが過去に経験したプラセンタサプリ2種類の悩み

私はゲイ歴30年以上の中年男性、独身です。
というと「ゲイなら、独身なのは当たり前なのでは?」と思われるかもしれません。しかし、ゲイでありながら結婚しいている人は、めずらしくないのです。いわゆる「バイセクシャル」で結婚している人も多いですが、中には純粋な同性愛者でありながら異性と結婚している人もいます。
それはつまり、「世間体」を重んじ、心ならずも女性と夫婦関係になっているケースです。
ゲイとして30年以上生きてきた私が、若いころに抱いていた最大の悩みも、やはり結婚問題でした。
私は2人兄弟の長男。20代半ばを過ぎるころから、親や親類から、結婚に関する話題をよく振られるようになりました。

私は10代のころから、自分が純粋な同性愛者であることを認識していましたから、結婚はまったく考えていません。
そこで「自分は子供がほしいと思わない。だから、結婚はできないと思う」という説明の仕方で、「独身主義宣言」をしていました。
けれど、親たちはみな「若いうち、男はそう思ったりもするものだ。一過性の考えにちがいないから、時期が来れば結婚するのだろう」と思っていたようです。
そのため、30歳を過ぎてからは、いっそう頻繁に「結婚しないのか?」と問われるようになったのです。
ちょうどそのころ、弟が結婚し、すぐに子供が生まれました。両親にとっての初孫です。私は「これで少しは、自分への結婚攻撃が減るだろう」と安堵。実際に、次第にではありますが、私に対する「結婚は?」という質問が減っていきました。

同じころ抱いていた悩みがもう1つあります。それは「カミングアウト問題」です。
親や親類だけでなく、会社の上司などからもしつこく「結婚は?」と聞かれ、辟易していました。
それで、「思い切ってカミングアウトしてしまえば、楽になれるかも」と思った時期もあったのです。
私の周りのゲイの中にも、特に親にカミングアウトした人が数人いました。
みな、「カミングアウトしてよかった」と言っていましたが、私にはなかなかその勇気がわきません。
また、カミングアウトはあくまでも自分のためにするもので、「独りよがりなのでは?」と疑問もありました。
さらに、受け手がどう感じるか、特に親がどんなショックを受けるかという不安、心配も小さくありませんでした。
それで「するべきか、せざるべきか」とハムレットのように悩む時期が、かなり長く続いたのです。
優柔不断な私はなかなか決断できないまま、年を重ねていきました。
なぜなら私は若く見えたかったので、プラセンタサプリを利用しようか考えていました。
その時に偶然サプリの口コミサイトをみつけたので、すがるような思いでみました。

そして、40代に突入。みな、私が本当の独身主義者であると理解してくれたのでしょう。
やがて「結婚問題とカミングアウト問題」は自然消滅してしまいました。つまり、誰からも結婚を急かされることがなくなり、それと同時に、カミングアウトの必要性もなくなったわけです。
さて、現在「中年」と呼ばれる年代に入った私が、ゲイとして抱えている悩みが1つだけあります。それは「老後問題」です。

これは、私の同世代や上の世代のゲイの多くの、共通の悩みといっていいでしょう。
家庭を持たずに仕事をしてきましたから、金銭的な蓄えは同世代のノンケ(ゲイでない人)より多いかもしれません。しかし、家族はいないのです。老後、いくらお金があっても、一人では幸福を実感することはむずかしいでしょう。

現在私は15歳下の男性と交際しています。つきあうようになってから、もう20年近くなります。しかし、いくら長く付き合っても、ただの恋人でしかありません。
日本にいる限り、夫婦にはなれないのです。もちろん養子縁組して家族になることは可能です。しかし、それも簡単なことではありませんし、相手の両親は健在ですから、現実問題として、現段階では不可能と言わざるを得ないのです。

今の恋人といつまでつきあっていられるか、何の保障もないことになります。
老齢になってずっと一人で、さみしい最期を迎えたゲイを、実際に知っているだけに、「もしかして、自分も」という不安を捨て去ることができません。
これが現在の私がゲイとして抱えている最大の悩みです。